2008-07-13 21:53:11
Stars of The Lid / And Their Refinement of The Decline [ ■円盤紹介 Ambient, Experimental ]

Stars of The Lid / And Their Refinement of The Decline (kranky) ('07)
レーベルkrankyにおいてLabradfordと双璧を成すテキサスのAdam Wiltzie、Brian McBrideによるベテラン・デュオ=Stars of The Lidの2007年発表の最新作。01年発表の前作"The Tired Sounds of Stars of The Lid"から6年の時を経て放たれたこの作品は、前作に引き続き二枚組の大作、そして"kranky100"のカタログナンバーを背負う記念碑的なものとなった。本作においても彼らの音楽仲間の協力により、弦(チェロ、ハープ等)・管(ホルン、トランペット等)楽器をはじめとするクラシカルな素材で奏でられるミニマルなアンビエンスを堪能することができるが、傑作であった前作より若干音色が明るめになっており、ところどころに感涙もののメロディーラインが現れるのが特徴となっている。音の残響が極限まで薄く引き延ばされ、透明度が増し輪郭が消失した至福のアンビエント〜ドローン・サウンドは明るすぎず暗すぎず、曲のテンションがある一定の振れ幅でゆらゆらと上下し、晴れそうで晴れない霧の中をゆっくりと進んでいく様な、そんな瞑想的な雰囲気を漂わせる。また、この手の音楽にありがちな曲の匿名化とは逆に、彼らは毎度ながらほとんどの曲に「ちゃんと」名前をつけている。彼らの音楽を聴きながらこの曲名から何を想像するもしないも聴き手次第なのだが、何か壮大な物語がそこにあるのではないか、と感じてしまう(特に意味は無いのかもしれないが)。
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2008-06-08 20:44:11
Burning Star Core / Challenger [ ■円盤紹介 Ambient, Experimental ]

Burning Star Core / Challenger (Hospital Productions) ('08)
近頃、密かな盛り上がりを見せているアメリカはオハイオ在住のC. Spencer Yehによるソロ・プロジェクトBurning Star Coreの新作。Hospital Productionsからのリリース。時にはサイケデリックなノイズ、ドローンの使い手として、時には新鋭のヴァイオリニストとして、ソロやコラボ等の形態で次々と作品を連発している彼が放つ新作は雄大ともいうべきスペーシーでシンフォニックなメロディーで幕を開ける。続く#2も限界まで振り切ったディストーション・ギター?による重厚なノイズの嵐といった風で、散漫になりがちなジャンクな音をギュっと濃縮させて放つような"楽曲的"な仕上がりになっている。また、#4は人の声によるドローンにB durのピアノの響きが重なり、さらに荒れ狂うノイズが流入するという離れ業を披露している。作品は後半に入るとスケールの大きいアンビエントな趣にシフトしていき、ラストは神秘的なメロディーと工場内のような音(電動のトルクレンチでボルト締めするような音)が混在となり消えていくように終わりを迎える。メロディーとジャンクなノイズが融合するでも乖離するでもなく、微妙な距離感を保って同居するなんとも不思議な作品。でもこれ、すごく病みつきになります。
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2008-05-11 19:28:55
Four Tet / Ringer [ ■円盤紹介 Techno, Electronica ]

Four Tet / Ringer (Domino) ('08)
3月にひっそりとDJで来日したFour Tet ( = Kieran Hebden)の久々のオリジナル・マテリアルの登場。オリジナル音源としては久々と言え、'05年の前作『Everything Ecstatic』発表以来、DJ-Mix作品『DJ-Kicks』、初のリミックス集、ジャズ・ドラマーSteve Reidとの3枚のインプロ・コラボ作、そして昨年は母体バンドFridgeでの活動と超多忙の彼。そんな彼の新作は4曲入り、トータル30分のEP。作品毎に異なるサウンドを聴かせてくれるFour Tetだが、本作は大胆にもテクノ一本勝負といった感じで、これまでに無くフロア寄りの作品となっている。基本は4つ打ちのミニマルなトラックなのだが、ミニマルなシンセのループがどこかNeu!を髣髴とさせたり、また、途中で生ドラムが重なったりと彼流のこだわりも随所に見受けられ、完全に新機軸といえるサウンドを展開している。また、いつものメロディー・メーカーとしての手腕も存分に発揮しているのだが、次作もこの路線でくるのか、はたまた別のアプローチでくるのか、今後の展開から目が離せない。
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2008-04-29 20:52:03
Earth / The Bees Made Honey in The Lion's Skull [ ■円盤紹介 Rock, Postrock, Jazz ]

Earth / The Bees Made Honey in The Lion's Skull (Southern Lord) ('08)
USオルタナティブの深層流として己が道を行き、数多くのミュージシャンから畏敬されているEarth。彼らは今密かなるヘヴィドローン・ブームの中心的存在であるSunn O)))の音楽活動の原動力として存在し、'93年発表の『Earth 2』は今やヘヴィドローンの金字塔として神格化れているが、彼らが文字通りの「ヘヴィ」な音を発していたのは'90年代初頭のSub Pop時代のこと。長いブランク時代を経て'05年に発表した前作『Hex』では「ヘヴィ」な要素は排除され、ギターの歪みに頼らない真に「ヘヴィ」なアメリカーナ・サウンドへと変貌を遂げていた。本作の音楽性はその延長線上にあるものであり、さらにその深みに磨きがかかっている。ギターの歪みは無くなったものの、Earthの醍醐味であるスロー&ミニマルな要素はそのままに、翳が有り暗いけどもどこか郷愁の念に駆られるサウンドは唯一無二のものだ。バンド構成はギターのDylan Carlsonを中心に、ドラムス、ベース、キーボードの四人編成にで、ゲストとしてあのBill Frisellが何曲かギターで参加している。ちなみに、Earthは本作でようやく日本デビュー(日本盤はDaymareから発売)となったわけだが、日本盤には'07年にライブ会場で限定発売された『Live Europe 2006』がボーナス・ディスクで付いており、ファンには嬉しい内容となっている。
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2008-03-16 20:32:55
Ryoji Ikeda datamatics [ver.2.0] [ ■音塊 (Live Report etc.) ]
![datamatics [ver.2.0] 1](http://blog.nettribe.org/user_images/51/52/bb5738245e3a0491ee26019cac05a294.jpg)
![datamatics [ver.2.0] 2](http://blog.nettribe.org/user_images/b6/49/c0df21f77a7f5fa98a9a5c8c5ee166d1.jpg)
![datamatics [ver.2.0] 3](http://blog.nettribe.org/user_images/13/4b/2c90e0d58cb0352880e467bb48b2e792.jpg)
気温も上がり春麗らかな日曜の夕方、恵比寿ガーデンホールへ池田亮司のライブ(正確に言うとライブではないのだが・・・)を観に行ってきました。
今回の公演は2006年に日本でも公開されたdatamatics [prototype]の完全版のお披露目ということで、また「本人が登場、演奏せず」ということは解っていながらも、いつの間にかチケットを買っていたのでした。
内容については詳しく触れません。『完全版』というだけあって、prototypeのときに使われていたモチーフを基に、音響・映像共に強度を高めたものという感じでした。それと前回に無かったパターンもチラホラと。今回は前回の会場よりも小さいハコで、スクリーン、スピーカーからの距離が近かったせいもあって、圧倒的な情報量に体がついていけなくなりそうになりました。終わった後、会場が明かりを取り戻す瞬間になぜかニヤけてしまうのは、心地よい満足感と、たった今体験した非日常的感覚の所為なのでしょう。今回もクオリティの高さをに圧倒されたわけですが、一つだけ注文をつけるとすれば、トータル1時間に満たない作品を15分の休憩を挟んで二部に分ける必要があったのか?ということ。これくらいの長さなら一気に通しで観たかったなぁというのが正直なところです。あの濃密な空間を一時間ぶっ続けで体験するのはかなり疲労を伴うのは間違いないのですが・・。
帰りに会場で彼の新作『test pattern』を買い、また日常世界へ戻るのでした。
2008-03-02 19:13:28
Sylvain Chauveau / Nuage [ ■円盤紹介 Ambient, Experimental ]

Sylvain Chauveau / Nuage (Type) ('07)
2000年にデビューし、以後DSAやFatCatのサブレーベルである130701等から作品をリリースしてきたフランス人作曲家Sylvain Chauveau。本作は2007年にTypeからリリースされた作品で、フランス人映画監督Sebastien Betbederの2本の作品『Nuage』、『Le Mains D'Andrea』の為に書き起こされた短編サウンド・トラック集である。同じく2007年にTypeからリリースされた前作『S.』は、ピアノと電子音によるミニマリスティックな作風だったが、本作では彼の得意とするピアノとストリングスによる静謐な作風へと回帰している。どこか物憂げに一つ一つ慎重に言葉を発するように奏でられるピアノの音色と、暖かなチェロ、ヴィオラの響きが、映画の1シーンを目の前に映し出す・・・それほどまでに想像力が掻き立てられる作品。ポスト・クラシカルな美しいサウンドと、最小構成の楽器による音の「間」が堪能できる。ぼやけていながらも、強烈な象徴性を放つジャケット・デザインも素晴らしい。
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2008-02-03 23:39:56
Tim Hecker / Atlas [ ■円盤紹介 Ambient, Experimental ]

Tim Hecker / Atlas (Audraglint Recordings) ('07)
'07年締めくくりのレヴューがTim Heckerでしたが、'08年最初のレヴューもTim Heckerです。昨年末に出たライブ盤『Norberg』と同時期にアメリカはポートランドのレーベルAudraglintから500枚限定でリリースされたヴァイナル・オンリーの10"シングル。'06年に作曲された本作にはA・B両面に10分程のトラックが1曲ずつ収録されており、それぞれ"Atlas One"、"Atlas Two"と題されています。"Atlas One"は大地を揺るがす巨大な砂嵐のごとく分厚いホワイト・ノイズが渦巻く中、その中に穏やかなクリーン・トーンのギター・サウンドが蜃気楼の様に微かに揺らめいており、相反する性質の音が見事に共存しています。それに対し"Atlas Two"では冷たく澄んだ美しいレイヤー・サウンドと、それに寄り添うように爪弾かれるアコースティック・ギターの音色が心地良く響き、静的なトラックに仕上がっています。シングルとは言え、このハイ・クォリティーぶりには十分にお腹いっぱいにさせられます。
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2008-01-06 17:11:41
2007 Best Disc [ ■音塊 (Live Report etc.) ]










遅ればせながら、2007年の私的ベスト・ディスクを10枚選んでみました。
選んでみて気づいたのですが、この10枚中5枚しか当ブログで紹介していません。
ということで、1枚ずつコメントしたいと思います。(上段左から)
・ The Arcade Fire / Neon Bible
― 全米1位を獲得しました。
・ John Zorn / Six Litanies for Heliogabalus
― 亜p:どgkmvpそdkgんbj;xfkg
・ Battles / Mirrored
― 東京での1日2公演、ご苦労様でした。
・ The Sea and Cake / Everybody
― 爽やかサウンドは健在。少し骨太になりました。
・ Pan Sonic / Katodivaihe
― チェロがいい感じでした。
・ Merzbow, Carlos Giffoni & Jim O'rourke - Electric Dress
― 愛しきトリオ。
・ Fridge / The Sun
― 復活には驚きました。
・ Savath & Savalas / Golden Pollen
― 底無しの才能を感じました。Prefuse 73としての新譜もよかったです。
・ Oren Ambarchi / In The Pendulum's Embrace
― 悟りの境地。
・ Bogdan Raczynski / Alright!
― Yeeeeehhhaawww
ちなみに、2007年の私的ベスト・アクトは5月のチッタでのSunn O))) & Borisでしょうか。
その他、TOOLやNIN、ポスト・ロック勢の襲来があったりで、ロックなライブがほとんどでした。
今年はもう少しリスニング系のライブにも足を運びたいと思っています。
(が、早速2月にRage Against The Machineのライブに参加予定です・・・。)
それに、毎年言っているのですが、今年こそはもっと多くの枚数の作品を当ブログで紹介したいです。
去年の記事数が22と、月に2つも書いていない状況ですので、今年は最低月3は書きたいですね。
あと、去年何気に迷惑を被ったトラックバック・スパムなんですが、
このブログ・システムでは防ぐのに限界があるようで、今のところ何の対策もしておりません。
スパム・トラックバックを削除した際に、誤って他の正規のトラバまで削除してしまったことは内緒です。
(過去にトラック・バックしてくださった皆様、ごめんなさい。)
去年当ブログの避難場所として新たに設置したnowhere to belongへの本格移転も考えないといけないのですが、
本年も飢餓天国をどうぞ宜しくお願い致します。
2007-12-02 14:20:46
Tim Hecker / Norberg [ ■円盤紹介 Ambient, Experimental ]

Tim Hecker / Norberg (Room40) ('07)
カナダのサウンド・アーティストTim Heckerのライブ・レコーディングがオーストラリアのレーベルRoom40からリリース。ライブ音源のリリースは'04年のSTAALPLAATの『Mort Aux Vaches』シリーズ以来。'05年夏にスウェーデンのNorberg鉱坑で収録された本作では、彼の持ち味であるノイジーかつ瞑想的なレイヤー・サウンドが鉱坑内の岩石と呼応・反響し合い、まさに自然と一体となって放たれている。煌くメロディーがガラス玉のように転がる導入部から、高密度のプラズマが吹き荒れるようにノイズがなだれ込み、そして温かみのある伸びやかなシンセがノイズと絡み合うという、彼の音楽の魅力が見事にこの一枚に凝縮されている。近年はFenneszやIsis、Jesuなどのロック勢とライブ共演を果たしていますが、(いつものセリフ)是非来日も果たしてほしいものです。1曲約20分収録。
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2007-11-18 19:57:02
Bogdan Raczynski / Alright! [ ■円盤紹介 Techno, Electronica ]

Bogdan Raczynski / Alright! (Rephlex) ('07)
ポーランドに生まれ、その愛くるしいキャラクターと天性の暴れん坊ぶりにより、一躍Rephlexの先鋒隊となった我らが愛しきBogdan Raczynski。Rephlexより『Boku Mo Wakaran』でデビューし、攻撃的なドリルン・ベースの嵐と、親しみやすくどこかメルヘンチックなメロディーと、名古屋の南山大学への留学時に会得した(ヘンテコ)日本語を武器に、一時期はレーベル・オーナーのRichard D James = Aphex Twinやその盟友であるTom Jenkinson = Squarepusherと肩を並べるほどの人気を博していた彼が、'03年のEPコンパイル作『Renegade Platinum Mega Dance Attack Party: Don The Plates』以来4年ぶりのフルレングス・アルバムをドロップ。ここ最近では'05年にBjorkとの極秘コラボ・リミックスシングルのリリースがあったものの、以前より活動が控えめになっていたので少し心配していたのだが、本作ではそんな心配はなんのその、相変わらずの元気のよさを見せつけてくれている。昨年、本作の発売がレーベルのカタログ・ナンバーつきでアナウンスされた当初はタイトルが『Yeeeeehhhaawww』となっており、すでに内容のヤバさを予感させていたが、発売前にタイトルが変更となった。そして肝心のサウンドだが、今回も初めから最後までブッ飛ばしっぱなしの8曲40分で、お得意の痙攣系のドリルン・ベースにチープな耳当たりのほのぼのメロディーは尚も健在。期待していた日本語は本作では使用されていないが、彼の雄叫びが入っていたりして否が応にもテンションが上がってしまう。中にはバッハの平均律クラヴィーアの有名なプレリュードが引用されていたりと、おふざけ要素も忘れてはないようだ。今の流行は眼中に無いと言わんばかりに独自路線を突き進んでいる彼ですが、是非また日本でライブをやってほしいものだ。
Kocham twoją muzykę, Bogdanie!
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